日本の下駄は、一般的に木製の台に「歯」と呼ばれる突起物が付いており、足の親指と人差し指の間に「鼻緒(はなお)」を通して履く、日本の伝統的な履物です。歩くたびに「カランコロン」という独特の音を立てるのが特徴です。


下駄の歴史

  • 起源(弥生時代): 下駄の原型は、稲作が始まった弥生時代に、水田の中で足が沈むのを防ぐための農具「田下駄(たげた)」だったと考えられています。
  • 歩行用の履物へ(古墳時代~): 古墳時代になると、低湿地で足を汚さないための歩行用の履物として使われ始めます。
  • 庶民に広まる(江戸時代): 奈良時代には貴族が「木履(ぼくり)」と呼ばれる下駄を履き、平安時代には「足駄(あしだ)」が生まれましたが、庶民が日常的に履くようになったのは江戸時代中期以降です。この頃から、おしゃれとしての意識も高まり、専門の職人が登場しました。

下駄の種類

下駄には様々な種類があり、形や用途によって呼び名が異なります。

  • 二本歯下駄(駒下駄): 最も一般的な下駄で、台の下に2本の歯が付いています。
  • 一本歯下駄(高下駄): 歯が1本だけの下駄で、山道での歩行や修験者が履くなど、特別な用途で使われていました。
  • 右近下駄(うこんげた): 台の裏にゴムが貼られていることが多く、歯のない、または低い下駄です。比較的安定していて歩きやすく、現代の浴衣などに合わせやすいことから人気があります。
  • 千両下駄(せんりょうげた): 前歯が斜めになっているのが特徴で、別名「のめり」とも呼ばれます。
  • ぽっくり(おこぼ): 舞妓さんが履く厚底の下駄で、中に鈴が入っているものもあります。

現代の下駄

昭和30年代以降、生活様式の変化に伴い靴が普及したことで、日常的な履物としての下駄の需要は減少しました。しかし、現在でも浴衣や和装に合わせる履物として、また、そのデザイン性や機能性が見直され、現代的なアレンジが加えられたものが作られています。

下駄は単なる履物としてだけでなく、日本の気候や文化の中で育まれた知恵や美意識が詰まった、奥深い存在と言えるでしょう。